2020 年 9 巻 2 号 p. 42-50
日本発の革新的技術であるファインバブル(FB)は、様々な分野で注目されている。これまでFBが樹木に与える影響についての知見はない。そこで、本研究では、最も微細な気泡であるウルトラファインバブル(UFB)に酸素を濃縮した酸素UFB水が植物の発芽と生育に及ぼす影響をスギとコマツナで評価した。研究の結果、発芽については酸素UFBの効果はみられなかった。コマツナの底面給水栽培では、本葉枚数は、液肥なしと液肥あり共に、酸素UFB水の方が水道水に比べて有意に多く、草丈は、液肥ありでは酸素UFB水の方が水道水に比べて有意に大きく、液肥なしでは有意差は認められなかった。コマツナの頭上給水栽培では、酸素UFB水の方が水道水よりも本葉枚数が有意に多かったものの、草丈には有意差は認められなかった。一方、ミズゴケを使用したスギ実生苗の栽培では、酸素UFB水は水道水に比べ、苗高は大きく、地上部絶乾重や地下部絶乾重はわずかに重くする効果があると推定された。