森林遺伝育種
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ISSN-L : 2187-350X
9 巻, 2 号
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その他
原著論文
  • 西村 水伶, 田玉 巧, 小濱 宏基, 金枝 拓実, 牛田 晃臣, 瀬戸 光一, 樋渡 忠, 森口 喜成
    原稿種別: 原著論文
    2020 年 9 巻 2 号 p. 42-50
    発行日: 2020/04/25
    公開日: 2020/04/25
    ジャーナル フリー

    日本発の革新的技術であるファインバブル(FB)は、様々な分野で注目されている。これまでFBが樹木に与える影響についての知見はない。そこで、本研究では、最も微細な気泡であるウルトラファインバブル(UFB)に酸素を濃縮した酸素UFB水が植物の発芽と生育に及ぼす影響をスギとコマツナで評価した。研究の結果、発芽については酸素UFBの効果はみられなかった。コマツナの底面給水栽培では、本葉枚数は、液肥なしと液肥あり共に、酸素UFB水の方が水道水に比べて有意に多く、草丈は、液肥ありでは酸素UFB水の方が水道水に比べて有意に大きく、液肥なしでは有意差は認められなかった。コマツナの頭上給水栽培では、酸素UFB水の方が水道水よりも本葉枚数が有意に多かったものの、草丈には有意差は認められなかった。一方、ミズゴケを使用したスギ実生苗の栽培では、酸素UFB水は水道水に比べ、苗高は大きく、地上部絶乾重や地下部絶乾重はわずかに重くする効果があると推定された。

  • 袴田 哲司, 山本 茂弘, 近藤 晃, 三浦 真弘, 平岡 裕一郎, 加藤 一隆
    原稿種別: 原著論文
    2020 年 9 巻 2 号 p. 51-60
    発行日: 2020/04/25
    公開日: 2020/04/25
    ジャーナル フリー

    スギMスターコンテナ苗の林地植栽時におけるサイズや形状比と若齢期の成長との関係を明らかにするため、静岡県内の3 ヶ所で、植栽時、1成長期後、2成長期後、3成長期後の樹高と根元径を測定した。一般化線型モデルによるデータ解析で、植栽時の樹高や根元径はそれぞれ2 ~3成長期後の樹高や根元径に対して有意な関与がなかった。また、植栽時の樹高と2 ~3成長期後の樹高、植栽時の根元径と2 ~3成長期後の根元径との相関は弱かった。植栽時のサイズから林野庁によるコンテナ苗の標準規格で分類した場合、3成長期後には樹高、根元径ともに規格間の有意差が認められなかった。植栽時のサイズから形状比で階級分けした場合も、2成長期後以降には樹高、根元径の階級間差が認められなかった。これらは土壌条件や植栽密度、下刈りの方法が異なる3 ヶ所の試験地で共通していた。このような分析結果から、育苗中に生じたコンテナ苗のサイズ的な違いは、林地植栽後の樹齢の上昇に伴い平準化に向うと考えられた。そのため、本研究で対象とした植栽時の樹高や根元径の範囲内であれば、スギMスターコンテナ苗の出荷規格を狭い範囲で設定する必要はないと考えられた。

令和元年度森林遺伝育種学会賞受賞研究
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