抄録
ビス(4-フルオロフェール)フェニルホスフィンオキシド(BFPO)と2, 2-ビス(4-ヒドロキシフェール)プロパン及び4, 4′-ジヒドロキシビフェニルのアルカリ塩との反応によって得られる芳香族ポリエーテル(それぞれポリエーテルI及びII)の合成条件について検討した。アルカリ金属としてカリウムを用い.ジメチルスルホキシド(DMSO)中で185°Cでの重合によって,対数粘度(ηinh)が0.64 (ポリエーテルI)及び0.48 (ポリエーテルII)の高分子量ポリマーが得られた。
示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量測定(TG)によってポリエーテルの熱的性質について検討した。X線回折によりポリエーテルI及びIIが無定形であることが明らかとなった。DSC測定においては,ポリエーテルI及びIIについてガラス転移が認められ,その温度(Tg)はそれぞれ197及び225°Cであった。さらに, TG測定において観察されたポリエーテル及びIIの窒素中における熱分解開始温度(Td)はそれぞれ505及び535°Cであり,積分法によって求められた分解の活性化エネルギー(E)はそれぞれ164及び217kJ/molであった。