抄録
親水性の異なる各種セルロース試料,すなわち未処理綿セルロース,マーセル化セルロース, 3%あるいは20%水酸化ナトリウム中アクリルアミドでカルバモィルエチル化およびカルボキシルエチル化したセルロースにγ線を照射し,スチレンのグラフト重合反応を行った。得られたスチレングラフトセルロースの微細構造を,吸湿率,吸水率ならびに結晶化度測定により追究した。その結果,グラフトスチレンは全ての試料で,非晶領域から擬結晶領域,更にグラフト率が高くなると結晶領域を一部破壊しながら結晶領域へと沈着していくことが明らかにされた。しかしながら,非晶領域ならびに結晶領域の量が試料によって異なるために,吸湿率・吸水率のグラフト率依存性が,見かけ上試料により異なるものと推定された。すなわち,非晶領域ならびに擬結晶領域量がグラフト反応挙動およびグラフト試料の微細構造をコントロールするものと考えられる。