繊維学会誌
Online ISSN : 1884-2259
Print ISSN : 0037-9875
被服材料と水との相互作用に関する基礎的研究:第X報,羊毛および獣毛繊維の吸湿性
堀北 道子福田 光完高岡 昭河合 弘迪
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 45 巻 9 号 p. 367-381

詳細
抄録
シープ,ゴート,キャメル,およびラビットに分類される15種の獣毛繊維の等温水分収着曲線を,主として秤量瓶法を用いて, 30°Cにおいて観測した。得られた結果を, Brunauer, Emmett, Teller (B. E. T.)の多分子層吸着式によって解析し,そのパラメータC(吸着エネルギー因子), vm(最大単分子層吸着水分率)およびnmax(最大多分子層吸着層数)と構造との関連を論じた。
多種にわたる獣毛類にかかわらず,パラメータの値は相互に類似しており, Cは9.40~11.7, vmは5.74~7.18%,さらにnmaxは5~6の範囲にあった。X線回折強度分布よりRuland法によって決定された結晶化度Xxを用いて, vmを非晶度(1-Xx)の関数としてプロットすると,羊毛類には原点を通る直線関係が認められ,その完全非晶物でのvmは9.27%,髄構造をもつ獣毛類はこの直線より上方にプロットされ,さらにスケールの等温収着への影響はほとんどないことが判明した。
特定の羊毛について,その水分収着熱を乾燥状態から飽和水分収着の範囲にわたり,収着水分率の関数として測定し,収着過程の熱力学的考察を行った。羊毛の吸湿は発熱過程であり,微分収着熱QL(収着水の液相水に比較したエンタルピー差)および過剰エネルギーTΔS (収着水の液相水に比較したエントロピー差)を収着水分率の関数として決定し,収着された水分が乾燥状態近傍では極めて高い秩序状態にあり,飽和収着でも液相水に比較してなお高い秩序状態にあることを決論した。
著者関連情報
© (社)繊維学会
次の記事
feedback
Top