日本小児血液・がん学会雑誌
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原著
日本人小児血友病B患者におけるノナコグ ベータ ペゴルの有効性及び安全性の解析
長江 千愛小倉 妙美長尾 梓堀越 泰雄鈴木 隆史小松 京子寺野 博子瀧 正志
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2019 年 56 巻 5 号 p. 441-446

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抄録

ノナコグ ベータ ペゴル(N9-GP,レフィキシア®)は半減期延長型遺伝子組換え血液凝固第IX因子(FIX)製剤である.国際共同第III相試験paradigm5においては,FIX活性0.02 IU/mL以下の中等症・重症小児血友病B患者を対象としてN9-GP 40 IU/kgが週1回定期的に投与された結果,その有効性と安全性が確認され,0.15 IU/mLを上回るFIXトラフレベルが報告されている.本研究では,N9-GPの日本人小児患者における有効性,安全性,薬物動態を評価するために,paradigm5に参加した日本人小児重症血友病B患者3例の結果を詳細に解析した.N9-GPの平均投与期間は3.29年であり,治療を要する出血が3例7件に認められた.全出血が軽度/中等度であり,N9-GPの単回投与で著効が得られた.試験期間に標的関節は生じず,年間出血率,年間自然出血率はともにparadigm5の結果と大きな相違はなかった.重度,重篤な有害事象及びN9-GPとの関連が疑われる有害事象,FIXインヒビターの発生は認められなかった.定期補充療法による平均FIXトラフレベルは0.172 IU/mLであり,paradigm5の結果とほぼ同様であった.3例という少数例の検討ではあったが,日本人の解析結果には,paradigm5全体の結果と比較して大きな差異はみられなかった.

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© 2019 日本小児血液・がん学会
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