抄録
アクリル酸,メタクリル酸をグラフト重合したポリエチレンテレフタレートは親水性になるが,アルカリ処理をしてナトリウム塩型にすると,さちに親水性が高まる。しかし,アルカリ処理の用水としてカルシウムなどの多価金属イオンが含まれている天然水を使うと,ナトリウム塩の形成が阻害され,所期の親水性が得られなかった。
カルシウム塩水溶液によってモデル試験をした結果,グラフト重合で導入されたカルボキシル基の金属塩化が,カルシウムイオンの存在によって抑制されることが確められ,カルシウムによるポリカルボン酸のゲル形成が,金属塩の形成を抑えるものと推察された。アルカリ処理の反応系に金属イオン封鎖剤を添加すると,カルシウムなど多価金属イオンの作用が封じられ,純水を用いた場合と同様のナトリウム塩ができることが判明した。