抄録
きわめて大きな気/液界面を有する泡沫を利用する泡沫染色においては,染料分子の気/液界面への吸着や,バルク染液からの泡沫の生成過程における染料の泡膜中への取り込みなどが,泡沫による染色性を左右する重要なファクターであると考えられる。
そこで,まず単一気泡膜拡張時に気泡膜の内外部に生じる差圧を連続的に測定する動的泡膜張力測定装置の試作を行った。さらに起泡剤存在下における気泡膜表面への染料分子の吸着を動的立場から考察することを目的とし,非イオン系界面活性剤単独系および酸性染料混合系の動的泡膜物性について検討し次の結果を得た。
1)泡膜張力測定装置は実際の起泡過程を忠実に再現したモデル実験を可能とし,溶液の起泡性および泡沫の安定度などに影響をおよぼす気泡膜の拡張粘弾性を測定できる。
2)拡張粘性の結果から染料添加系においても拡張により新たに形成される気/液界面には初期の段階で,まず界面活性剤分子が吸着する。しかし,拡張弾性は疎水基の大きな染料の添加により減少する傾向にあり,準静的条件下において,気/液界面に染料分子が存在する可能性は残されている。
3)気泡膜の拡張弾性は疎水基の大きな酸性染料の添加により界面活性剤の低濃度領域で低下する傾向にあるが,界面活性剤が過剰に存在する場合には弾性係数は0となり界面活性剤単独系のものと同様の結果を示す。