抄録
近年鉄骨構造の主要構造部に施す耐火被覆として、発泡性耐火塗料の適用事例が増加しつつある。この理由として、建築設計者による鉄骨構造現しの意匠的要求、及び建築仕上用耐火塗料の普及体制の整備等が挙げられる。現在いわゆる認定耐火構造で、1時間耐火構造が主流であり、2時間のそれも幾つか上市されている。建築仕上材として市場を開拓しつつある発泡性耐火塗料の高温加熱時における性状を検討した。ISO 834に規定する耐火加熱曲線の下での炭化層の形成による鋼材の保護性状、付着性等を明らかにした。これまで確認がなされていなかった大断面の角形鋼管の柱部材に対する発泡性耐火塗料の適用性について検討した結果、現在普及している耐火塗料はこれら大断面鋼材柱に適用しても十分に安全であると判断された。