抄録
寺社建築に代表される古い木造建築では、耐震的観点から見ると、屋根においては土葺き下地の上に粘土瓦葺きのため重量があり、外壁においては開口が多く、真壁は土壁でできていることから、地震に対し強い構造とはなっていない。一方、著名な木造寺社建築の被災事例の文献調査によると、1割弱は地震が原因であり、8割強が火災、落雷が原因との報告がある。本報告は、今後100年の延命と耐震性を施主より求められた築78年の古寺の改修に際し、耐震壁の補強改修工事として、主要な外壁と一部の間仕切壁について、火災安全性、耐朽性、防蟻性、耐震性に優れた無機質系の「パルプ・けい酸カルシウム混入セメント板」を耐力面材として使用した事例を報告する。