抄録
土壁は、地域および左官職人によって小舞間隔および工法など多種多様であることから、構造研究者による実大供試体での力学的解析が多い。本報は土壁を簡易なモデル試験体で評価することを目的に、荒壁および中塗り土の塗り重ね、小舞間隔および裏返しについての材料特性を調べている。その結果、小舞間隔は曲げ強さから2cmが適切であるが、現場での作業性からは3cm前後を確保する必要があることを明らかにした。また、土壁は裏なでして乾燥した後、再び荒壁、中塗りを乾燥させる塗り重ねの効果を確認したことで、新たな工法・構法への発展と改善にも繋がる。