抄録
築70年経過したRC建築物である東京大学3号館のスクラッチタイルの中性化抑制効果を検討し,素材の細孔特性の観点からの考察を行った。1)東大3号館の外壁仕上げ材料であるスクラッチタイルは,コンクリートの中性化を完全に抑制していることを確認した。2)スクラッチタイルを施した外壁において中性化が進行していない原因として,当時のスクラッチタイルが現在のタイルに相応する組織構造を有していることと,さらには現在の下地(張付け)モルタルと同等以上の緻密な組織構造を有する目地モルタルが施工されていたことが考えられる。