日本建築仕上学会 大会学術講演会研究発表論文集
2012年大会学術講演会研究発表論文集
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2012年大会学術講演会研究発表論文集
  • ―東京大学工学部3号館の調査から―
    今本 啓一, 野口 貴文, 兼松 学
    p. 01-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    築70年経過したRC建築物である東京大学3号館のスクラッチタイルの中性化抑制効果を検討し,素材の細孔特性の観点からの考察を行った。1)東大3号館の外壁仕上げ材料であるスクラッチタイルは,コンクリートの中性化を完全に抑制していることを確認した。2)スクラッチタイルを施した外壁において中性化が進行していない原因として,当時のスクラッチタイルが現在のタイルに相応する組織構造を有していることと,さらには現在の下地(張付け)モルタルと同等以上の緻密な組織構造を有する目地モルタルが施工されていたことが考えられる。
  • 松沢 晃一, 橘高 義典, 大井 優, 水谷 吉克, 秋本 雅人, 竹中 賢治, 石川 直輝
    p. 02-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
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    コンクリート下地に対するタイル仕上げに関する検討は多くなされているが,ALC下地に対するタイル仕上げに関する検討は少なく,特に,応力伝達メカニズムや,圧縮および引張応力下での下地と張付けタイルの変形性状を検討した研究はあまり見られない。また,タイルの張付け材にはモルタルが多く用いられるが,近年では有機系接着剤が用いられることも増えており,下地とタイルを接着させる張付け材に関する検討も必要であると考えられる。本研究では,下地をALCとし,様々な張付け材を用いてタイル仕上げとした場合の下地のひずみに対するタイルの圧縮および引張応力下におけるひずみ追従性について実験的に検討を行った。
  • 水上 卓也, 小川 晴果, 三谷 一房, 片岡 弘安, 福田 一夫
    p. 03-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
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    外装接着剤張りタイル工法は,弾性を有する接着剤層が,接着界面に発生する剥離応力を低減することから,タイルの剥離防止性能を有する工法として期待されている。本研究では,当該工法の長期耐久性を確認するため,接着剤の充填不足などの施工誤差を考慮した外装接着剤張りタイル試験体について,実際の外部環境を想定した促進耐候性試験を行い,促進耐候性試験前後の引張接着力試験時の変形性状および化学的性状からみた耐久性の評価を試みた。
  • 福島 浩一, 谷川 伸, 本橋 健司
    p. 04-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
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    促進試験の水準は、熱の影響だけの温冷繰返しと水の影響だけの乾湿繰返し及び熱と水の両方の影響を確認する温冷・乾湿繰返し試験を400サイクル実施した。測定項目は、タイル面、下地面、裏面に取り付けられたひずみ計と熱電対によってひずみと温度と、400サイクル後の接着強さと破断断面を調べた。結果として、各種の促進試験で、各接着界面のひずみ変化と接着強さを評価した結果、透明防水材でタイル目地からの雨水の浸入を防止(モイスチャームーブメントの阻止)によって、タイル張り仕上げ外壁からのタイル剥離防止が可能であることがわかった。
  • 吉田  俊介, 永井  香織, 松井 勇
    p. 05-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
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    大谷石は近代建造物の内・外装材として多く用いられている。外装材として用いられる場合の劣化要因として、吸水膨張に伴う表面の変化、寒冷地における凍結融解作用などが挙げられている。本報では、大谷石の劣化現象の把握を目的に、物性、凍害判定、凍結融解試験を行い、大谷石の空隙、ミソの量と凍害の関係について検討する。
  • その1 環境配慮型水系下塗り材の開発
    奥田 章子, 堀 長生, 長岡 亮介, 成瀬 圭弘
    p. 06-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
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    プレキャストコンクリ-ト板(以下、PCa板)においては、より大型化、軽量化する傾向があり、塗装仕上げの場合、鏡面仕上げが意匠的に好まれるにもかかわらず、コンクリ-ト素地面に実測で0.1mm以下の微細なひび割れが発生するという問題が顕在化してきた。また、特定の骨材を使用した軽量コンクリ-ト製PCa板においては、含水率がなかなか下がらないという問題があらたに発生した。一方で、近年の塗装工事では、環境に配慮する目的で、VOC(揮発性有機化合物)の発生しない水系の塗装材料の採用が望まれている。そこで,高含水率下地にも高付着力を有するポリエチレン樹脂系エマルションに着目し、これを応用して水系下塗り材を開発した。開発した水系下塗り材は、11%以下の高含水率下地にも高付着力を示し、膨れ発生を抑制すること、塗膜厚さを制御することにより、追従するひび割れ幅を制御可能なことを示した。
  • その5 プライマーの性状によるふくれ発生を低減させる要因
    神山 慶之, 近藤 照夫, 鈴木 博, 若林 秀幸, 齊藤 隆, 今井田 和典
    p. 07-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
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    ウレタン塗膜防水を施工する場合は、一般的に下地となるコンクリートに含有される水分を十分に乾燥させてから防水材料を塗付することとされているが、コンクリートの品質や耐久性を考慮すると、乾燥させることは必ずしも適切ではないと判断される。しかし、防水材料が塗付されて硬化した後に、ふくれや剥離のような不具合が散見され、そのメカニズムを容易に説明することは難しいのが現状である。これらのことから、下地となるコンクリートの含水量とウレタン塗膜防水に生じるふくれの関係について研究を継続しており、前報では、二種類のプライマーを選定し、プライマー塗膜の厚み、乾燥時間の違いによってふくれの発生程度が異なることを示した。ふくれ発生を低減するには、プライマーの塗膜厚と硬化性(硬さ)が要因の一つになると考えられた。本報では、プライマーの硬化性(硬さ)に着目した実験結果を述べ、ふくれ発生を低減させる要因を検討する。
  • 降旗 翔, 大塚 秀三, 八木 修, 荒巻 卓見, 赤谷 樹一郎
    p. 08-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
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    本研究では,シラン系含浸材のコンクリート細孔内部におけるアルコキシ基の反応性を高めることで,含浸材の劣化を抑制するとともに,これをシラン・シロキサン系表面塗布材により保護する併用型の有効性に加え,屋外暴露環境における表面保護効果の持続性を明らかにすることを目的とする.ここでは,性質の異なる2種類のシラン系含浸材を使用し,JSCE-K571-2004に基づいて評価した結果を報告する.その結果,含浸材の性能は,単に含浸深さよりも,その反応性を高めることで,含浸層がより緻密となり,表面性能が改善された.さらに,含浸材と表面塗布材を併用することで,表面保護効果を著しく改善することができた.また,屋外暴露48週後においても,表面保護効果が維持されており,コンクリート表面特性の改質に有効であることが確認できた.
  • 御園 麻衣子, 今本 啓一, 永井 香織
    p. 09-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、RC建造の保存に資する劣化予防保全のための候補として、表面含浸材と表面コーティング材を取り上げ、それらの中性化および水分の浸透抑制効果ついて実験を行った。その結果、表面コーティング材は塗布後に視覚的変化が生じるが、高い中性化抑制効果が見られ、それに対し表面含浸材は見た目の変化が少ないが、中性化抑制効果は見られなかった。水分抑制効果については、表面含浸材の中でも撥水性能を有するシラン系のものが高い効果を発揮した結果となった。また、透気係数と中性化深さに相関があることが分かったが、透気係数と含水率には相関が見られなかったため、コンクリート躯体内の水分状態を評価するには別の観点からのアプローチが必要であると思われる。
  • 田里 アリセ礼香, 長谷川 拓哉, 千歩 修
    p. 10-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    見かけのCl-拡散係数の評価方法として、文献調査、屋外暴露試験、塩水浸漬試験の3つの方法を対象として検証した。その結果、初期給水速度、透湿量から見かけのCl-拡散係数を推定できる可能性があること、また、屋外暴露試験体から求めた見かけのCl-拡散係数は劣化の影響を考慮する必要があることが分かった。RC造の建築物の仕上塗材は、躯体保護効果があることがしられているが、その中で遮塩性について明らかでない点が多い。仕上塗材の遮塩性は、見かけのCl-拡散係数による評価が一般的だが、その評価方法が確立されていない。そこで本研究では、仕上塗材を対象として、見かけのCl-拡散係数の評価方法を検討することを目的としている。みかけのCl-拡散係数の評価方法として、文献調査、屋外暴露試験、塩水浸漬試験の3つの方法を対象として検証した。その結果、初期吸水速度、透湿量からみかけのCl-拡散係数を推定できる可能性があること、また、屋外暴露試験体から求めた見かけのCl-拡散係数は劣化の影響を考慮する必要があることが分かった。
  • 林 瑞紀, 今本 啓一, 本橋 健司, 兼松 学, 楡木 堯, 井上 照郷
    p. 11-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    将来の維持・管理の策定に資するツールを開発するため,外装仕上げ材料の耐用年数を予測する手法を構築する。しかしながら,外装仕上げ材の劣化には施工,環境,材料特性,使用条件、その他複合的な因子が含まれており,要因ごとの劣化メカニズムを積み上げ,全体を予測することは容易でない。そこで本研究では,実構造物調査を通して外装仕上げ材の劣化状況を把握し劣化要因の定量化を行い,確率論モデルを用いた劣化シミュレーションによる建築材料の耐用年数予測手法の確立を試みる。
  • 長谷川 拓哉, 千歩 修
    p. 12-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    仕上塗材の耐候性の評価として、一般に光沢保持率が用いられている。建築物の維持保全のため、仕上塗材の寿命予測を行うにあたり、光沢保持率の予測をすることは重要と考えられる。しかし、屋外暴露環境下における光沢保持率低下の予測については、いくつかの提案があるものの、まだ明らかではない点が多いのが現状である。そこで、本研究では、既往の研究の文献調査を行い、屋外暴露環境下における光沢保持率低下の傾向を明らかにするとともに、その予測式を提案した。提案した式による予測結果は、屋外暴露試験結果をよく表現できることを確認するとともに、代表的な仕上塗材について美観上の寿命の算出を行った。
  • 田村 雅紀, 熊谷 早織
    p. 13-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    天然の有機系材料の多くは強固な繊維骨格を維持しており,合理的な構造組織を形成することができる。本研究は,これら植生の有機骨格の特定を維持しつつ,無機系材料であるセメント固化体と複合化した無機有機複合材料を製造し,仕上げ材として有機物骨格の力学特性に関わる特性を評価した
  • 吉元 健一, 西浦 建貴, 前谷 康彦, 宮下 尊之, 林 秀典, 岩田 元志, 小川 恭史, 川村 幸雄, 伊賀上 竜也, 川島 敏雄, ...
    p. 14-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    塗装するだけで室内が明るくなり、省エネ・節電効果が得られるという内装用の新塗材、室内高拡散反射塗料に着目し照度測定の試験を実施した。今回、室内高拡散反射塗料の性能評価のために比較用に従来の室内内装用艶消し塗料、漆喰塗料と合わせて計3種の製品を塗付した試験体を用意して照度測定を行い、室内高拡散反射塗料の省エネ、節電効果を比較検証した。
  • 園田 健, 浜村 高広, 青山 泰三
    p. 15-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    従来、主に外壁の雨筋汚染防止を目的に用いられてきた塗膜表面親水化による低汚染化技術が、高日射反射率塗料の日射反射率低下防止に応用できないかについて検証を行った。その結果、塗膜表面を親水化することで、日射反射率の低下防止に一定の効果が得られた。また、その効果は、暴露角度、塗膜の明度、遮熱顔料の種類によらず発現することが判った。
  • その7 耐候性試験後の日射反射率について
    田村 昌隆, 本橋 健司, 清水 亮作, 三浦 正継, 林 昭人
    p. 16-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    近年、高日射反射率塗料の利用が促進され年々需要が増えつつある。高日射反射率塗料の効果については、各種検討を行ってきた。高日射反射率塗料は、主な用途として建築物の部位で最も劣化が進むといわれる屋根部に塗装されることが多く、その耐候性は遮熱性能の持続性に係わるものと考えられる。本報告では、前報(その5)に引続き高日射反射率塗料の経年における劣化の状況、特に遮熱性能の経年変化についてその測定手法と屋外暴露試験4年後及び促進耐候性試験5000時間後の塗膜調査を行った。
  • その8 色相の違いによる耐候性試験と試験後の日射反射率
    田村 昌隆, 本橋 健司, 清水 亮作, 三浦 正継, 林 昭人
    p. 17-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    前項その7にて、継続して行っている耐候性試験について屋外暴露4年後、促進耐候性5000時間後の結果を報告した。これらの耐候性試験では、グレー色を中心に行ってきた。本報告ではさらに実用化されている高日射反射率塗料について、様々な色相にて耐候性試験を実施すべく実験を始め、促進耐候性3000時間後、および屋外暴露1年後の塗膜調査を行った。
  • 西山 達哉, 上条 昌輝, 清水 康二, 嶋田 展久, 鯨井 正見, 渡邊 彰
    p. 18-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    近年、資源枯渇ならびに地球温暖化、大気汚染などの環境問題から省エネルギーが重要な課題となり、建物の窓ガラス面では冷房負荷が大きな問題となっている。その対策として熱線反射ガラス・熱線吸収ガラスなどで日射を遮蔽させているが窓ガラスが着色されるなどの問題も多い。なお、熱線吸収ガラスの日射遮蔽効果は透明ガラスより大きいが日射時における部屋の温度が透明ガラスより高くなることがある。これは熱線吸収ガラスが日射を吸収して高温となることが原因と考え、日射吸収率の異なるガラスの表面温度と内部温度の関係ならびに内外に温度差があるときの室内温度変化や結露の状況を検討し無色透明な断熱コーティング材を開発したので、ここに報告する。
  • 平林 陽一郎, 本橋 健司, 大島 明
    p. 19-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、光触媒塗料の藻類及びかびに対する効力を実験室において促進的に評価する方法を検討しつつ、その性能を検証するものである。具体的には、屋外での藻類及びかびの発生の再現性を高め、低光量下における藻類の初期発生の検討するため、JIS Z 2911(かび抵抗性試験)とJIS R 1705(ファインセラミックス-光照射下での光触媒抗かび加工製品の抗かび性試験方法)を参考とし、実験を行った。その結果、低光量においても光触媒活性により、藻類及びかびの初期発生を抑制する効力をしめすことを確認した。ただし、塗料に防藻・防かび剤を添加した場合は、初期段階において光触媒活性より効力が高いことがわかった。
  • その1 光触媒コーティング剤の開発
    袴谷 秀幸, 行武 俊行, 板谷 俊郎, 手島 菜奈絵, 沼田 宏, 崎村 雄一, 宅間 真, 森 一紘, 吉崎 隆, 大谷 勇作, 井岡 ...
    p. 20-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    筆者らは、病院における院内感染対策のツールとして、院内感染対策トイレシステムの構築を検討している。その要素技術のひとつとして、光触媒コーティング剤を建材に塗布することで、建材自体の抗菌性能を向上し、接触感染に対する対策を図ることを挙げている。その1では、新たに光触媒コーティング剤を開発し、JISに定められた試験方法に準じた試験を行い、開発した光触媒コーティング剤の抗菌性能を確認した。その結果、以下のことが分かった。①開発したコーティング剤は、大腸菌、黄色ぶどう球菌、O-157、VRE、MRSAに対して優れた抗菌性能を持っている。②ブイヨンを添加した試験菌液を使用することで、実際の建物に施工した抗菌材料の抗菌性能を評価できる可能性がある。
  • 藤本 祐輝, 大塚 秀三, 山中 新太郎, 小野 泰, 赤谷 樹一郎, 荒巻 卓見
    p. 21-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    麦わら由来合板とは,小麦の繊維をMDIにより加熱加圧成形した合板である。本研究は,麦わら由来合板の厚みを変化要因として,その物性および耐久性に加え,木造軸組耐力壁への適用性の検討を行なった。その結果,曲げ強さおよび曲げヤング係数はJAS-構造用パネルの基準値との比較において,強軸方向では下回ったが,強度の異方性は極めて少なかった。また,12mm厚の麦わら由来合板を用いて行なった面内せん断試験では,壁倍率が2.9~3.3倍程度となり,90mm角以上の木材の筋かいを入れた軸組に相当する耐力を有することが明らかとなった。
  • 山口 晃平, 小山 明男, 菊池 雅史
    p. 22-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    再生樹脂シートの実用化に当たり,目標とする用途の一つである防水シートは約10~20年間の使用寿命があることから長期的な耐久性は重要な因子である。しかし,既往の研究において基礎的な耐久性実験は行われているものの,長期的な耐久性についての検討は未着手である。また,廃材混入率の増加に伴い,品質および耐久性は低下し,効率的なマテリアルリサイクルの課題となっている。そこで,本研究では長期的な耐久性を検討するとともに,単層では品質が低い再生樹脂シートを複層化することにより品質の向上,並びに耐久性の向上を図る。
  • 砂澤 周一
    p. 23-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    施工後の塩ビ床材が次第に変色し、外観不良となる事例が報告されている。変色の原因は、カビ、熱、紫外線等多岐に渡っており、夫々のケースで変色の原因を特定する事は極めて困難な作業である。変色原因を解析する為の基礎的データを採取する目的で、本研究では、塩ビ床材の紫外線劣化に伴う変化を可視紫外分光法及び赤外分光法を用い測定した。その結果、劣化の初期段階では着色材料の劣化が進行し、続いて塩ビ樹脂の劣化が起こることが判った。また、実現場から採取した黄変サンプルとの比較を行い、変色原因について推定した。
  • 熊野 康子, 福岡 高征, 村上 順
    p. 24-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    食品加工施設や工場などでは、床材として塗床材が使用されることが多い。塗り床の施工時の臭気は高く成分としてトルエンやキシレンなどの有機溶剤が含まれている。これらの臭気の主成分はTVOC(総揮発性有機化合物)であり、塗り床の主成分である樹脂の硬化反応が完了した後も臭気成分として残り、製品や作業に悪影響をもたらすことがある。また下地処理作業に使用されるプライマーも臭気の原因となることが多く、この場合は長期間にわたり臭気が発生している。一方では「低臭気タイプ」塗床材が発売されているが、TVOCの低減推移について従来品と比較されて示されているものが少ない。今回は使用されることが多い①エポキシ樹脂系塗床材、②MMA樹脂系塗床材について、施工直後から養生時間が完了する6~8時間程度までのTVOC発生量の変化を予測するために試験室でできる簡易的な試験を考案し、実際に各塗床材の測定を実施したのでその結果を報告する。
  • 表面状態及び試験方法の違いによる滑り性の変化について
    大島 明, 古田 裕三
    p. 25-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    木材・プラスチック再生複合材を使用したデッキ材は,屋外の歩行環境で少なからず摩耗を受け,滑りやすくなることが考えられる。今回,デッキ材が著しく摩耗された場合にどの程度滑り性能が低下するかを把握するため,表面状態を変えて試験を行った。試験はJISによる方法及びASTMによる方法との両者について検討した。その結果,表面が完全に摩耗され平滑になった場合に,表面が乾燥状態であれば大きな滑り性の違いがなく,水濡れの場合は滑りにくくなった。また,表面に泥が付着した場合は若干滑り易くなった。但しASTMによる振り子式試験では水濡れの場合にJISによる斜め引張試験方法と逆の傾向が現れた。今後,実際の歩行感覚に近い試験方法を提案すべく実験を継続する予定である。
  • 上霜 郁実, 大澤 典恵, 兼松 学, 萩原 伸治, 今本 啓一, 中島 史郎, 吉野 利幸, 野口 貴文
    p. 26-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、窯業系サイディングの耐久性評価を行うに当たり必須となる、劣化外力の地域・方位・部位における相違の把握を目的とする。特に、外装材に大きな影響を与えると考えられる通気層に関して分析を行った。まず、実大曝露試験より、通気層内の下部温度が低くなり、窓下温度は空気の滞留により高くなる傾向にあった。セルフード上は室内温度の影響を受け、他部位と全く異なる動きを示した。次に、非定常熱湿気同時移動解析を行い、実測値を比較することで解析結果の妥当性を検討した結果、解析値は実測値に比べ小さくなる傾向にあった。また、実大曝露試験結果から部位係数を算出し、解析結果を用い特殊部位の劣化外力の予測を行った。
  • 旭川とつくばに曝露された実大住宅の挙動解析
    堀居 令奈, 今本 啓一, 兼松 学, 萩原 伸治, 中島 史郎, 吉野 利幸, 野口 貴文
    p. 27-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,窯業系サイディング住宅外装材の維持管理手法を確立することを目的としたものである。外装材は気温変化,風雨や紫外線など直接的に受ける部材であるが,この外装材の維持管理手法として確立されたものはない。実環境下における挙動を把握し,将来的な劣化予測とモニタリング手法からなる維持管理手法を確立する上で,特に外装材の弱点となる目地の挙動に着目した。
  • 大澤 典恵, 兼松 学, 萩原 伸治, 今本 啓一, 中島 史郎, 吉野 利幸, 野口 貴文, 上霜 郁実
    p. 28-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    方位や部位の違いに応じた劣化外力把握を目的とし、実構造物模擬曝露試験体を用いて、旭川とつくばにおいて屋外曝露試験を行った。本報告では、 曝露2年までの劣化状況について報告するとともに、水分の存在に着目し、濡れ状況の把握を行った。さらに、壁面で確認された水分は雨水に起因するものと考察し、石川らの手法と気象庁統計データにより、任意の地域における濡れ状況の推定を行った。
  • 上田 伸一, 八木沢 敬良, 永冨 和哉, 杉島 正見
    p. 29-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    近年、落書きの被害は街の郊外・田園地域も含め加速的に広がっている。本研究者らは2001年から神奈川県の落書き消し活動にて種々の落書き除去剤を評価してきているが、除去性能と作業効率の点から有機溶剤を使用してきている。この除去剤は消防法の危険物、および労働安全衛生法の有機溶剤に該当することから、使用には専門家の指導・管理を必要とする。また、下地を溶かしてしまうこともあり、使用用途も限定される。このような経緯から安全性が高く、除去性能と作業効率に優れる水性落書き除去剤を開発し、従来難しいとされるコンクリートブロック塀上の落書き除去を含む実用性評価結果を行ってきた。本報告では、その開発概要と評価結果について報告する。
  • 光源の強さと凹凸寸法を変えた場合
    野村 価生, 勇 松井, 永井 香織
    p. 30-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、壁面にスポットライトを照射したときの、壁面仕上げの光と影により凹凸が良く見える照射条件について述べている。8種類の仕上げパターンを施工したフレキシブル板(900×1800㎜)を試験壁とした。試験壁の最上部一箇所にハロゲンランプを設置し、試験壁中央部の照度を100~3500lxの11段階に変えて照射した。写真撮影は、試験体中央部にカメラを設置し、照射時に試験壁全面を撮影した。輝度は、試験体を12分割のユニットに区分し、1ユニット当たり12箇所において測定した。壁面の上部から照射したスポットライトによる壁面各部の輝度分布と凹凸表面の光と影の見え方について分析した。試験の結果は、以下のとおりである。凹凸表面は、500cd/㎡以下では、はっきり見ることができないが、500~1000cd/㎡で最も良く見える。2000cd/㎡を超えると全体が明るくなり見えにくくなる。
  • その1 パターン・イメージ原図を対象とした官能検査
    君島 新一, 田村 雅紀, 大原 千佳子
    p. 31-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    日本は,近年多様な壁紙が生産され、無色かつ簡素な壁紙を中心に数多くの施工されてきた。材料選定については,設計者および専門工事業者の判断に依存する傾向が見られ,消費者の需要が充分に反映されていないのが現状である。しかし,高齢化社会となり,室内での人の活動時間が増え,室内空間の快適性などの要求条件の高まりにより,人が内部空間の見え方によって壁紙の表面のデザインの変化が求められるような状況になりつつある。本研究では,視覚的な錯覚現象のひとつであるモアレに着眼し,壁紙が観察距離の変化により,多像化するようなテクスチャーのパターンを作成し, その模様が意図的に変わる壁紙を用意した上で,官能検査を行い、視界距離変化により、壁紙パターン知覚の変化に伴う印象評価の傾向を分析する。
  • その2 パターン・イメージ原図を対象とした近赤外光法計測
    君島 新一, 程原 恵多, 田村 雅紀, 大原 千佳子, 山口 由衣
    p. 32-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    現在日本では,高齢化社会となり室内での人の活動時間が増え,室内空間の快適性などの要求条件の高まりにより,人が内部空間の見え方によって壁紙の表面の快適さや美観を重視したデザインの変化が求められるような状況になりつつある。そのなかで,前報(その1)では、新素材壁紙の作成プロセスと暗室を用いた官能検査により,新素材壁紙のテクスチャーの図と模様による認識調査と距離によるテクスチャーの印象評価を官能検査により評価した。本報では、前報で作成,官能検査を行った試験サンプルを,デジタル画像の提示により,近赤外光脳機能イメージング装置を用いた脳血流変化の測定を行い、テクスチャーのパターン変化が脳活動に与える影響を確認する。
  • 林 怡伶, 松井 勇, 永井 香織
    p. 33-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    降雨中に、水切り板に降った雨水が外壁に伝わる。雨が止んだのち後に、雨が流れた跡は、よごれとして壁面に残る。この汚れ跡を本研究では「雨筋よごれ」と呼ぶ。雨筋よごれは、窓下、パラペットの上部などによく見られる。この雨筋よごれは、水切り板に溜まった塵埃を含んだ水が壁面に流れることによって発生する。建築外壁材料の雨筋よごれ抵抗性を評価するために促進試験方法を開発した。本報告は、塗料の促進試験結果と屋外暴露試験結果を比較したものである。試験体は、ステンレス板に13種類の塗料を塗布したものを用いた。試験の結果、水接触角が大きくなるに従い、色差は大きくなっている。促進試験による色差は、6か月間の暴露試験結果に比べて大きくなっている。
  • ~色彩仕上げと照明・音響効果の関係性~
    佐々木 大喜, 杉本 賢司
    p. 34-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    この調査では、東京ディズニーリゾートで生みだされる複合的かつ高品質なアメニティ、ホスピタリティを始め、エンターテイメントに満ちあふれた体験(音響効果、照明、環境の美化、エイジング)そして、サービス、ラスベガスのフェイク建築を超える魅力について、二年間ここに勤務した体験、東日本大震災時に起きた気づきの中から、ディズニーの素晴らしさと、昼と夜の光の遣い方、音響効果による印象の変化、仕上材料の長寿命化に関して得られたことを報告する。
  • 本橋 健司, 根本 かおり, 古賀 純子, 濱崎 仁, 下屋敷 朋千, 齋藤 恭平
    p. 35-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    外径6mm未満の注入口付アンカーピンの性能を確認するための一連の実験を行い、外径6mm未満の注入口付アンカーピンを含めた新しい品質・性能基準を提案した。また、一部の試験体はその作製作業が大変であるため、評価試験方法の見直しも行った。
  • 小山 幸洋, 橘高 義典, 松沢 晃一, 堀 竹市, 渡辺 清彦
    p. 36-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    建築物の長期利用、既存ストックの活用が望まれる中、外壁仕上げに対する補修が必要不可欠である。外壁補修には、仕上げの種類や劣化度に応じた工法を採用するが、その一つにピンネット工法がある。ピンネット工法は、平成7年に10工法が建設技術評価制度によって認定されており、個々の工法の評価研究はあるが、多種の工法を比較検討したものは少ない。また、コンクリート下地のひび割れ開口に対する追従性の観点からの性能試験が必要である。本研究では異なる多軸繊維ネットを用いて、付着強度試験と、ネットを施工した切欠きを有するコンクリート試験体の3点曲げ試験を行い、ピンネット工法におけるネットの性能を比較検討した。
  • 堀 竹市, 近藤 照夫, 渡辺 清彦, 佐々木 聡, 諸橋 強正
    p. 37-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    建築物の外壁に対する既存仕上げ層(セメントモルタル塗りや陶磁器質タイル張り)をポリマーセメントフィラーとと繊維ネットで押え、アンカーピンの打込みによって躯体コンクリートへ留め付ける外壁複合改修工法の一工法(GNSピンネット工法)に着目して、本報ではその特徴と開発経緯および施工実績に対する実態調査に基づく耐久性評価の結果を述べている。当該工法は開発当初に多くの実験的評価に基づいて、標準施工法が確立されており、その後も20年間にわたる実態調査が継続されて、現状では使用材料の物性変化が認められないと判断できる。
  • その1 塗装設計
    高橋 孝治, 本橋 健司, 池邊 このみ, 豊沢 貢, 福岡 高征, 守屋 善裕
    p. 38-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    集合住宅の再生に注目が集まっている。この度、UR都市機構は、バリューアップ修繕に基づく、集合住宅の改修工事を計画し、実行した。このバリューアップ修繕の計画の中で実施された、外壁塗装改修工事の設計について報告する。まず、改修工事全体のコンセプトとして、街のビジョン(将来)を考慮し、「トータルコーディネートによるコンセプト」を定めた。次に、そのコンセプトに準じた「外壁塗装改修のコンセプト」に基づき、塗装に関する設計がなされた。この設計では、耐候性と低汚染性向上のため、トップコートに、UR都市再生機構の標準仕様にはない、無機有機ハイブリッド塗料(ポリシロキサン系)を採用した。
  • 坂本 正治, 松川 忠文, 山本 也寸志
    p. 39-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    近年の省エネ・省資源などの社会的要求の変化により集合住宅の改修が見直され、窓改修に於いては従来の単板ガラスから複層ガラスを採用した断熱窓改修が増加しつつある。一方、窓改修での高気密化や複層ガラスによるガラス面の断熱性能が向上した結果、窓回りにおける結露が発生し問題となる場合がある。本報では、窓回りの断熱化として樹脂額縁を取り上げ、アルミ額縁との比較検証を集合住宅を再現した実験棟で実施し,表面温度と結露状態において、樹脂額縁の結露抑制効果を確認した。
  • 加納 伸悟, 秋本 雅人, 大澤 悟, 平野 竜行
    p. 40-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    大型水族館において、経年劣化や魚類の接触などによって水槽シール部の切断、はく離、変形等あるいはFRP防水の破損による漏水が問題となっている。大型化した水槽では、排水し生物を移設することができないことも多く、水中でそのまま補修できる材料が必要である。従来のエポキシ系水中パテでは、既設シールの動きなどに追従できず、早期に剥がれてしまう等の問題があった。本研究では、上記用途に対する主に1成分形変成シリコーン系シーリング材での適応性について、実験室での接着性・硬化性試験に加えて、実水槽での作業性評価ならびに定量試験化について検討を行ったので、その結果について報告する。
  • 橋向 秀治, 八田 泰史, 本橋 健司, 西川 あずみ, 任都栗 彩花
    p. 41-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    シーリング材の上に仕上塗材を施工した場合、仕上塗材の汚染・割れ・はがれなどの不具合が生じる可能性がある。仕上塗材の汚染対策としてノンブリードタイプのシーリング材を使用することで、汚染の可能性が軽減されることが報告されている。本報では、近年新たに開発された変成シリコーン系ノンブリードタイプの仕上塗材適合性について評価した結果を報告する。試験は、比較用シーリングを含め9種類、仕上塗材6種類(7社)、バリアプライマー併用あり、なしで実施し、付着性、汚染性を評価した。
  • 石橋  透光, 井原  健史, 大澤  悟, 藤谷 和弘, 堀 誠
    p. 42-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    東京タワーは1958年に竣工して、適切な維持保全により竣工後50年以上経過しても、健全な状態で電波塔としての機能を保持しており、また日本の名所の一つでもある。東京タワーの塔体は、鉄鋼及び亜鉛めっき鋼からなる部材で構成されており、建設当初には、美観と下地保護を目的としてフタル酸樹脂系の塗装システム(以下、従来仕様)が施された。その後、今日に至るまで美観維持を目的として、従来仕様での全面塗替(塗替周期は約5年)を9回実施しており、今後の美観維持は重要な課題である。昨今の地球環境や長寿命化への関心の高まりに伴い、VOCの削減に配慮した塗替塗装仕様が必要となってきた。東京タワーにおいても、今後、VOCに配慮していくために、2006年に、従来仕様と比べてVOCを低減できる水性の塗装システムの試験施工を行って、施工後5年間にわたり継続的な評価を実施してきた。本報では、試験施工を行った水性の塗装システムの施工性および耐久性の評価結果を踏まえて、改修塗装システムを選定した結果について報告する。
  • 今原 恵治, 長谷川 拓哉, 千歩 修
    p. 43-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    仕上材が鉄筋コンクリート造の耐久性を向上させることは広く知られているが、そのメカニズムについては明確になっていない。コンクリート中の水分移動性状はコンクリートの耐久性に大きく影響すると考えられ、メカニズム解明の上でそれを把握することは重要であると考えられる。前報では乾燥、吸水、再乾燥過程における仕上げを施工したコンクリート中の水分移動性状を電極法を用いて測定した結果を報告した。本報告では、既報で報告した仕上材を施工したコンクリートを17か月間屋内放置したものについて、長期的なコンクリートの含水率の変化を検討するとともに、コンクリート中の含水率と相関関係にあると考えられる乾燥収縮ひずみの変化について検討した結果を報告する。
  • 前田 真佑, 大塚 秀三, 荒巻 卓見, 三井 実, 赤谷 樹一郎
    p. 44-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,コンクリート表層部での水分移動によるコンクリート表面の明度の経時変化を,画像解析により定量的な評価を行い,非破壊的に圧縮強度の推定を試みたものである。本稿では,基礎的段階として,コンクリート供試体を対象に検討を行った。その結果,水セメント比が高くなるにつれ,水分移動に要する時間は短くなる比例的傾向を示し,水分移動により変化するコンクリート表面の明度による圧縮強度推定の可能性が予見された。
  • 小室 清人, 田村 雅紀
    p. 45-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究ではほたて貝殻を細骨材としてコンクリートに使用したときの特性を明確にする目的で行った。かぶり部にひび割れが生じるような試験体を作製し、許容ひび割れに達するまでの時間の測定をおこなった。その結果、ほたて貝殻は腐食に対する抵抗に優れていることがわかった。
  • 島田 大輝, 千歩 修, 長谷川 拓哉
    p. 46-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    近年コンクリートブロック工法において、目地工法が多様化している。しかし、それらの力学的特性は明らかでなく、目地部分の強度についてはその把握方法が確立していないという現状がある。そこで本研究では、コンクリートブロック工法における目地強度把握方法として、引っかき試験による方法を検討する。試験は角柱状のブロックの間にモルタル目地を施工した目地付き試験体を作製し、これに仕上式学会の引っかき試験器を用いて行った。目地モルタル、母材、目地幅、試験体作製時の母材の乾燥状態を変えて試験体を作製し、これらによる影響を検討した。また目地表層部と内部では強度が異なると考えられるため、その把握のため試験体を切断し表層から三段階の深さで引っかき試験を行った。
  • 吉田 夏樹, 三田 卓, 望月 泰史, 土屋 恵美
    p. 47-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    硫酸ナトリウムを含んだ土壌に建築された住宅基礎コンクリートでは、土壌中の硫酸ナトリウムが水分とともに基礎コンクリートの地上部分に浸透して結晶化し、その結晶成長の圧力によってコンクリート表面にスケーリングが生じる場合がある。本検討では、このような劣化を生じた初期段階のコンクリートの補修方法を検討することを目的として、コーティング材を用いた補修方法を検討した。実験の結果、コーティング材を塗布する前に、スケーリング箇所を可能な限り削り取る必要があること、コーティング材は基礎の地表面より下部から塗布する必要があること、高い強度や接着性、低い透水性などの特長を持つポリウレタン樹脂系塗料の塗布は、硫酸ナトリウム溶液の浸透やスケーリングを抑制する効果が高いことなどが明らかとなった。
  • その3 クリヤ塗装システムの開発と実用化
    大澤 悟, 井原 健史, 松原 道彦, 阿知波 政史, 谷川 伸
    p. 48-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    有機・無機ハイブリッド塗料による中性化抑制塗装システムは、下塗りが素地との付着性、中塗りは層状粘土鉱物を配合した有機・無機ハイブリッド塗料、上塗りは美装性・耐候性を付与する3層構成である。(その1)では、本システムの遮断性・追従性等の評価結果を踏まえたその妥当性について報告した。(その2)では、中塗りであるハイブリッド塗料の評価及び本システムの耐久性・疲労性等の長期性能について報告した。本報では、化粧打放しコンクリートに対して顧客や設計者から中性化抑制性のニーズの高いクリヤ塗装システムを開発して実用に供したので、その中塗りであるハイブリッド塗料の開発経緯、及びシステムとしての中性化抑制性・炭酸ガスや水蒸気の遮断性・耐汚染性・ひび割れ追従性等の各種性能評価結果や施工事例等について報告する。
  • その2 試薬量、湿度条件等の影響
    川村 康晴, 本橋 健司
    p. 49-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    塗料及び仕上塗材でのコンクリートの中性化抑制効果の評価方法が種々検討されている。塗料及び仕上塗材の製品は多種・多様あり、個々の製品の中性化抑制効果を迅速に評価するためには、より簡易で迅速な仕上材の中性化抑制効果を評価する方法を開発することが望ましい。本報では、透湿試験を応用したボックス法により塗料及び仕上材の炭酸ガス透過性の評価を行った。また、試薬量と湿度条件が炭酸ガス透過性に与える影響についても確認を行った。その結果、ボックス法によって定量的に炭酸ガスの透過性を評価できることが分かった。
  • 内村 陽介, 平本 勇也, 本橋 健司
    p. 50-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    漆喰は、主成分である消石灰がアルカリ性を帯びることで滅菌効果が期待できる。しかし、消石灰すなわち水酸化カルシウムは空気中の二酸化炭素と反応し時間の経過とともに炭酸カルシウムへと変化(中性化)しその効果は薄れてきてしまう。漆喰の中性化は、水酸化カルシウムが空気中の二酸化炭素と反応し炭酸カルシウムとなり水を生成することから、空気中の二酸化炭素濃度と湿度に密接な関係があると予想される。本研究では、漆喰の中性化の挙動を長期的に追跡し、どういった挙動を示すのかを把握した。また漆喰の乾燥の条件を湿度及び空気中の二酸化炭素濃度に変化をあたえ設定し、湿度と二酸化炭素濃度は中性化の挙動にどういった影響をもたらすのかを検証した。
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