抄録
プレキャストコンクリ-ト板(以下、PCa板)においては、より大型化、軽量化する傾向があり、塗装仕上げの場合、鏡面仕上げが意匠的に好まれるにもかかわらず、コンクリ-ト素地面に実測で0.1mm以下の微細なひび割れが発生するという問題が顕在化してきた。また、特定の骨材を使用した軽量コンクリ-ト製PCa板においては、含水率がなかなか下がらないという問題があらたに発生した。一方で、近年の塗装工事では、環境に配慮する目的で、VOC(揮発性有機化合物)の発生しない水系の塗装材料の採用が望まれている。そこで,高含水率下地にも高付着力を有するポリエチレン樹脂系エマルションに着目し、これを応用して水系下塗り材を開発した。開発した水系下塗り材は、11%以下の高含水率下地にも高付着力を示し、膨れ発生を抑制すること、塗膜厚さを制御することにより、追従するひび割れ幅を制御可能なことを示した。