抄録
国内では伝統的茅葺屋根建築は部材・材料の更新周期が短く,物理的な寿命も減少しており,これを保全するためには屋根の長期耐用化が求められている。しかし、材の種類と材の勾配および茅のカビ劣化抵抗性を区別した耐久性に関わる検討はされていない。本研究では,長期っている茅葺屋根に着目し,長期的な耐用性を向上させる基礎的要因となる茅(すすき,ヨシ)の吸水特性の評価と吸水性を踏まえた茅葺屋根のカビ劣化特性を評価した。結果,茅材の種類,葺き角度,腐食環境の影響によるカビ劣化対策の基本的な考え方が整理され,長期的に茅を保持するための有効な対策を示すことができた。