抄録
ウレタン塗膜防水層で最も重要な品質は膜厚であるが、現状での膜厚管理は、使用した材料の量を確認することによってなされることが多い。しかしウレタン塗膜防水層は、流動状態の材料を施工現場に搬入し、塗布して初めて防水層となるため、完成後の膜厚は材料使用量に加え、施工過程での諸要因、すなわち下地の状態,施工方法,施工具,希釈率,施工技能,作業環境等の影響を受ける。上述のような施工過程での諸要因が重要であるにもかかわらず、膜厚との関係はこれまで十分に研究されてこなかった。本研究は第一段階として、作業空間が狭隘で塗布作業の制約を受け、施工の影響を強く受けやすいと思われる集合住宅のベランダの平場及び側溝を対象として、施工具と希釈率が、完成後の膜厚に及ぼす影響について述べたものである。