抄録
海中に設置した電極に微弱電流を流すことにより,海洋生物の付着を防止する試みを行った。水産大学校
前の海面に8枚の測定板(塩ビ板)を沈め,測定板への生物付着状況を調べた。電流を加えた海面を試験区
とし,電流を加えない海面を対照区とした。 1998年7月と8月の2ヶ月間(第1期)と,同年9月下旬から
翌年1月下旬までの4ヶ月間(第2期)に分けて実験を行った。電源には太陽電池と充電式電池を用いた。
電極には白金メッキしたチタン細線(0.5mmのを用いた。約2.5V, 20mAの電流を加えた第1期の実験で
は,試験区と対照区とで付着状況に差が見られたものの,電流を加えた試験区にも生物付着が確認された。
そこで,電圧を上げ,約5V, 50mAの電流を加えた第2期の実験では,当初,試験区と対照区で差がみら
れたが, 12月から1月に,両者共に海藻類の付着が見られた。しかしながら,フジツボに関しては,両者に大
きな差がみられ,約5V, 50mAの電流には,フジツボの付着防止効果があると考えられる。