水産工学
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微弱電流による海洋生物付着防止に関する基礎的研究Ⅰ
井上 悟田川 英生永松 公明梶川 和武
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2002 年 39 巻 2 号 p. 161-168

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抄録
海中に設置した電極に微弱電流を流すことにより,海洋生物の付着を防止する試みを行った。水産大学校 前の海面に8枚の測定板(塩ビ板)を沈め,測定板への生物付着状況を調べた。電流を加えた海面を試験区 とし,電流を加えない海面を対照区とした。 1998年7月と8月の2ヶ月間(第1期)と,同年9月下旬から 翌年1月下旬までの4ヶ月間(第2期)に分けて実験を行った。電源には太陽電池と充電式電池を用いた。 電極には白金メッキしたチタン細線(0.5mmのを用いた。約2.5V, 20mAの電流を加えた第1期の実験で は,試験区と対照区とで付着状況に差が見られたものの,電流を加えた試験区にも生物付着が確認された。 そこで,電圧を上げ,約5V, 50mAの電流を加えた第2期の実験では,当初,試験区と対照区で差がみら れたが, 12月から1月に,両者共に海藻類の付着が見られた。しかしながら,フジツボに関しては,両者に大 きな差がみられ,約5V, 50mAの電流には,フジツボの付着防止効果があると考えられる。
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© 2002 日本水産工学会
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