抄録
資源管理のための魚礁や数m間隔で設置される漁具の位置を高精度で求めたいときには,キネマティック
GPS (KGPS)の使用が考えられる。このKGPSには正確な位置が分かっている基準局が必要である。しかし,
緯度経度で表される位置ではなく,顕著な物標などの地理的な基準点(基準局)からの基線ベクトルのみが
必要な場合は必ずしも基準局の正確な位置は必要でない。そこで, KGPSの基準局位置に20mの誤差を与え,
利用者局の水平基線ベクトル誤差を実測により解析した。
その結果,利用者局の水平基線ベクトル誤差は,基準局位置の誤差量,誤差方向及び基線長によって顕著
な傾向を示した。また,利用者局の水平基線誤差量を表すことができる実験式を得たが,その誤差量は小さ
く,上述の利用形態では無視することができる精度であった。.したがって,このような場合,基準局の位置
は単独測位のGPSやDGPSで簡単に求めても良いということが分かった。