水産工学
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サガラメ群落の修復を目的としたアメフラシ摂食特性の把握
蒲原 聡 原田 靖子服部 克也鈴木 輝明
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2010 年 47 巻 1 号 p. 69-74

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抄録

アメフラシは,春季に核藻場(種苗供給場)から周辺に拡大するサガラメ幼体を摂食する。サガラメ群落再生のため,アメフラシの海藻4種類に対する摂食選択性および摂食量を調べた。アナアオサ,ワカメ,サガラメの順に示したアメフラシの摂食選択性が,水温の上昇とともにアナアオサ,サガラメ,ワカメの順に変化した。100gのアメフラシの各海藻単独の摂食量は,15℃ではアナアオサが10.3g inv.^<-1>・d^<-1>,ワカメが2.7g inv.^<-1>・d^<-1>,サガラメが0.7g inv.^<-1>・d^<-1>,マクサが0.1g inv.^<-1>・d^<-1>,18℃ではアナアオサが3.7g inv.^<-1>・d^<-1>,ワカメが1.5g inv.^<-1>・d^<-1>,サガラメが0.8g inv.^<-1>・d^<-1>,マクサが0.2g inv.^<-1>・d^<-1>であった。アナアオサおよびワカメは水温の上昇とともに摂食量が減少したが,サガラメおよびマクサの摂食量は増加した。三河湾や伊勢湾の豊浜地先でのアナアオサの減少からみると,アナアオサはアメフラシのサガラメ幼体に対するバリア機能を有していたことになる。サガラメ幼体が出現する時期に,アメフラシの摂食圧からサガラメ幼体を保護するためには,水温の変化に着目してアメフラシを駆除することも一時的に必要だと考えられた。

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© 2010 日本水産工学会
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