2022 年 51 巻 1-2 号 p. 3-9
トミヨ属魚類は、北半球北部に生息するが、環境変化などによって減少傾向にある。このため、効果的な保全方策を検討するために、詳細な遺伝情報が必要である。ついては、Pungitius pungitius、 P. sinensis、およびP. tymensisにおける14座の4塩基反復と2座の5塩基反復のマイクロサテライトDNAマーカーの開発を行った。開発した16マーカー座を使用して3標本群の分析を実施したところ、対立遺伝子数は1-20、ヘテロ接合体率の観察値が0.000-0.934、ヘテロ接合体率の期待値が0.000-0.934であった。連鎖不平衡とハーディーワインベルグ平衡からの逸脱は観察されなかった。以上の結果から、今回開発したマイクロサテライトDNAマーカー座は、P. pungitius、P. sinensis、およびP. tymensisの保全方策を検討するうえで有用であると考えられた。