日本フットケア学会雑誌
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特集:歩行維持を目指したフットケア~運動と栄養・薬物療法の融合
看護師を中心とした歩行維持を目指したフットケア
池田 清子
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2018 年 16 巻 4 号 p. 188-192

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抄録

【要旨】フットケアの第一の目的は,足のハイリスク疾患をもつ患者の切断を回避し,より快適な日常生活を送れるように援助することである1).この目的を達成するために,医療職,介護職,家族,ケアスタッフ等が連携し,患者の歩行を守る実践を続けている.フットケアには,アセスメント,検査・治療,角質コントロール(爪切りを含む),清潔ケア,履物の調整,セルフケア指導,心理的ケア,社会資源の活用などがある.フットケアにより期待される効果の1つとして,バランス機能の維持があげられる.足底に胼胝が形成されたり角質が肥厚したりすると,地面の状態を感知する足底の触覚細胞のセンサーを鈍らせ,バランス機能が低下することが示唆されている.したがって,定期的な足底の角質除去やマッサージ,足趾や足部の筋肉を使った運動,インソールや靴の変更などにより足底のセンサーの働きを回復させることが期待できる2).また足のハイリスク疾患やハイリスク群には,糖尿病,動脈硬化性疾患,骨関節系疾患等と高齢者があげられる.これらのハイリスク群を対象にしたフットケアの効果として,糖尿病の患者では足白癬症と胼胝が減少すること,高リスク群の糖尿病患者では胼胝の影響による足潰瘍の発生がみられなかったこと3),高齢者では転倒予防のリスクの低減4),長期療養施設で生活している高齢者では皮膚の状態および足部と足趾の清潔状態が改善し,フットケアに関する認識も一部改善したとの報告5)がある.このように看護師が行うフットケアにはさまざまな効果が明らかにされているが,本稿では,歩行維持を目指したフットケアに焦点をあて,その意義やフットケアについて概観する.

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© 2018 日本フットケア学会
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