日本フットケア学会雑誌
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総説
糖尿病性神経障害の成因・ベッドサイドでの診察法と診断
出口 尚寿
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2018 年 16 巻 4 号 p. 193-199

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抄録

【要旨】糖尿病性神経障害は糖尿病発症後早期より高頻度にみられる合併症であり,その重症化は糖尿病足病変のリスクとなる.発症には,高血糖に起因する種々の代謝異常が関与するが,最近の研究では,高血糖以外にも,1 型,2 型糖尿病により異なる機序も想定されている.糖尿病性神経障害では,両足のしびれや痛み(陽性症状)が問題となるが,患者も主治医も気づかないうちに感覚低下(陰性症状)や自律神経障害が悪化し不幸な転帰をとる症例も少なくない.このため,早期診断と成因に対する治療介入が重要となる.わが国では,問診,アキレス腱反射,振動覚検査による「糖尿病性多発神経障害の簡易診断基準」が提唱されているものの,広く一般的に行われていない現状がある.国際的には,簡易診断基準の項目に加え,温痛覚検査とモノフィラメント検査の実施も推奨されているが,まずは,すべての糖尿病患者で簡易診断を実施することが糖尿病患者を診る医療者に求められる.

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