日本フットケア学会雑誌
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研究報告
下肢慢性創傷患者における疼痛評価 ─日本語版Short-Form McGill Pain Questionnaire-2 およびVisual Analogue Scaleを用いて─
種村 智香布谷 麻耶宮本 摂川端 京子
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2019 年 17 巻 4 号 p. 186-191

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抄録

【要旨】慢性創傷の疼痛は,急性創傷の疼痛とは異なり,侵害受容性疼痛のみならず,神経障害性疼痛,非器質的疼痛にも起因した痛覚過敏やアロディニアを生じる複雑な疼痛であると報告されている.そのため,慢性創傷患者の疼痛評価においては,従来より多用されているVisual Analogue Scale(VAS),Numerical Rating Scale(NRS)といった痛みの強さの評価だけではなく,これらの性質を含めた疼痛評価が必要である.そこで,A大学病院の形成外科,皮膚科の混合病棟に入院中の下肢に慢性創傷をもつ患者7名を対象として,VASに加え日本語版Short-Form McGill Pain Questionnaire-2(SF-MPQ-2)を用いて,疼痛の性質や特徴を評価することを目的として調査を行った.SF-MPQ-2は,持続的・間欠的・神経障害性・感情的表現の4領域の性質および22の痛み表現から成る疼痛評価ツールである.VASを用いた評価では,1名のみが中等度以上の強さの痛みを認めた.一方,SF-MPQ-2を用いた評価では,対象者の半数以上で4領域すべての性質の痛みを認め,約40%は神経障害性疼痛の可能性があった.また,70%以上で痛覚過敏,アロディニアに関連した痛み表現を認め,SF-MPQ-2総合得点が高い者は,神経障害性疼痛の可能性があり,感情的表現の性質と痛覚過敏,アロディニアに関連した痛み表現が強く認められた.

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© 2019 日本フットケア・足病医学会
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