抄録
林床植生やリター層などによる地表被覆が土壌の凍結にあたえる影響を調べるために,裸地(観測点p1)皆伐跡ササ地(観測点p2)およびカラマツ新植造林地(観測点p3)において,メチレンブルー式凍結深度計を用いて,土壌の凍結深度および融解深度の観測を行った。
観測は,根釧内陸部(東北海道)に所在する京都大学農学部附属北海道演習林(標茶区)第9林班内において,1977~1978年および1978~1979年の冬季に行った。
観測結果をまとめると次のようになる。
1)季節凍土の初日は,第1年度には3観測点でほぼ同時であったが,第2年度では皆伐跡ササ地で他の2観測点よりも1週間程度おくれた。
2)凍結の侵入速度は,裸地・カラマツ新植造林地・皆伐跡ササ地の順に小さくなり,凍結侵入の停止は,2ヶ年とも3観測点でほぼ同時であった。
3)各観測点での最大凍結深度は,第1年度には,裸地で44.0cm,皆伐跡ササ地で24.0cmおよびカラマツ新植造林地で37.5cmであり,第2年度には,それぞれ54.5cm,31.5cmおよび46.0cmであった。
4)裸地と比較すると,皆伐跡ササ地では20.0cmおよび23.0cmも最大凍結深度が浅く,カラマツ新植造林地においても6.5cmおよび8.5cm程度は最大凍結深度が浅かった。
5)凍土層の融解は,3観測点とも,まず積雪下で凍土層の底部から始まり,根雪の消失後は地表面からも進んだ。
6)凍土層底部からの融解は地熱によるものであるが,その速度は全融解期間を通じてほぼ一定で1~2mm/day程度であり観測点間の差は認められなかった。
7)地表面からの融解速度は,裸地・カラマツ新植造林地・皆伐跡ササ地の順に小さくなり,季節凍土の終日は,同一の順序でおそくなった。
8)裸地における凍結深度X1・fと皆伐跡ササ地における凍結深度X2・fおよびカラマツ新植造林地における凍結深度X3・fとの間には,それぞれ,
X2・f= -30+√(30²+X²1・f)
X3・f= -8+√(8²+X²1・f)
の関係があり,また,裸地における融解深度X1・tと皆伐跡ササ地における融解深度X2・tおよびカラマツ新植造林地における融解深度X3・tとの間には,それぞれ
X2・t= -45+√(45²+X²1・t)
X3・t= -12+√(12²+X²1・t)
の関係があった。