抄録
京都大学北海道演習林標茶区はミズナラ・ハルニレ等に代表される落葉広葉樹二次林のみで構成される,いわゆる冷温帯上部に属する。
1957年に小面積の植栽密度試験区が設定され,その中からha当り1万本の密度で植栽された,林齢19年のトドマツとヨーロッパトウヒの小林分について,現存量と生産量について調査した。調査時のヨーロッパトウヒの平均樹高,直径はトドマツにまさり,全地上部の現存量においては,トドマツのそれの約1.5倍あった。しかし最近1年間のヨーロッパトウヒの全地上部の生長量はトドマツのそれより約10%多いだけである。D²Hと樹体各部分の量との相対生長関係では,両樹種に若干のちがいがみられ,同じ大きさの幹につく枝葉の量はトドマツの方がヨーロッパトウヒよりも多く,金地上部の生産量にかかわる葉の生産能率および新葉率では,両樹種間にほとんど差はみられない。
樹幹解析から得た樹齢と樹高の関係から推定すると,樹齢30年位で両樹種の平均樹高は,似た値になるように思われる。林齢19~20年には,ヨーロッパトウヒで1年に約10%の枯損があったが,これは小さな個体で葉量が極度に少ないものがあることから,立本密度の影響によるものと考えられた。