抄録
本報告はクロマツ×タイワンアカマツのF1雑種における形質発現と生育状態を調べ,とりまとめたものである。
調査は京都大学演習林徳山試験地で育成中のF1雑種とその両親それぞれの自然交雑種の12年生林分を対象として,1980年に行なわれた。
調査の結果は次のとおりであった。
1 F1雑種の樹脂道の発現数や発現位置は両親の自然交雑種が示す値の中間的な関係にあった。
2 F1雑種における樹脂道の発現位置は,主樹脂道では雌性親型に,副樹脂道では雄性親型に多く発現し,主,副樹脂道の遺伝様式の異なりは明らかであった。
3 針葉長と重さの量的形質ではF1雑種は両親の自然交雑種の示す中間的な関係を示した。
4 樹脂道率(R. D. I.)の質的形質と針葉の形態(W/L)の量的形質間における相関は明かな傾向を示さなかった。
5 雄性親のタイワンアカマツでは幹,枝が曲がり,二又木となる習性をもっていて,自然交雑種林分でもかなりの個体に遺伝されている。しかし,F1雑種林分ではほとんど認められなかった。
6 F1雑種の樹高,直径生長は両親の自然交雑種の示す値の中間的な値を示した。
7 F1雑種林分から選んだ供試木の各器官の相対生長関係は次のとおりであった。
VS=0.109 (D²・H)0.856
WS=0.290 VS
WB=0.318 WS1.388
WL=0.395 WS1.216 (W:乾重量)
8 F1雑種林分の現存量(乾重)は,幹で22.62 ton/ha,枝で17.77 ton/ha,葉では13.51 ton/haであった。