本研究では、価格ダイナミックスを連続確率過程である幾何ブラウン運動で捉え、ダイナミックスを離散化し、確率動的計画法と結合することにより、不確実性下における森林資源管理に対する確率制御モデルの構築を行った。ここで構築するモデルは、間伐やその他の森林施業を考慮せず、価格の不確実性のみを考慮し、最適伐期齢の探求を目的としている。本確率制御モデルでは、伐採後に再造林あるいは、経営を放棄するというオプションを考慮した。分析の結果、経営の継続が困難な価格帯においては、最適伐期齢が長くなる傾向があることが分かった。また、価格が十分に高い状態では、確率制御モデルから得られる最適伐期齢と決定論的アプローチによるものはほぼ一致することも分かった。価格が将来的に下落する確率が高くなる場合、最適伐期齢は全体的に早くなる傾向があった。これは、経営放棄の機会が増す確率が上昇し、その結果将来的な期待収益が低下することに起因するものである。