全国の森林域を約20 km×20 kmメッシュで区画し,人工林を中心とした約1000林分において,樹冠の形状により森林の衰退・被害状況と生育阻害要因を調べた.調査は1990~1999年の間に 5 年間隔で 2 回実施した.樹冠の損傷や着葉の異常など何らかの衰退・被害木が存在する林分数は全体の30%程度認められた.主要な衰退・被害原因は手入れ不足による過密や被圧によるものであり,台風や冠雪などによる気象害が続き,病虫害は 3 %程度であった.大気汚染や酸性雨による可能性がある原因が不明の衰退・被害林分は10%以下で,欧米のような広域の森林衰退は認められなかった.