本論では,林業施策および住宅施策が森林・住宅両部門の炭素収支に与える影響を長期的に評価することを試みた.モデルは,森林サブモデルと住宅サブモデルからなり,シミュレーションは,今後50年間を予測期間として,全国の人工林と,全国の木造・非木造住宅を対象に各サブモデルにいくつかの施策シナリオを与えることにより行った.その結果,4 つの林業施策に応じた森林炭素吸収量は,今後50年間でいずれの場合も減少傾向となった.また 2 つの住宅施策に応じた住宅炭素吸収量は,いずれの場合も,はじめの20年程度は減少傾向を示し,後に増加に転じた.