日本理科教育学会研究紀要
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児童・生徒の空間認識に関する考察 ―回転・対称概念を中心として―
松森 靖夫関 利一郎
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1981 年 21 巻 3 号 p. 19-26

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抄録

現代心理学において,ピアジェやインヘルダーらにより,児童の空間認識に関する発達段階等の心理学的事実が明確にされてきた。しかしながら,理科における空間認識の研究は少ないように思われる。よって本研究では,回転概念・対称概念に関連する児童生徒の空間認識能力の実態を調査した。調査結果の分析より次のことがわかった。1. 回転方向に関する認識が低いこと 2. 星の回転速度(角速度)を,角度で捉えられる者は少なく,移動距離を用いて捉えている者が多いこと 3. 対称概念に関する設問の正答率は低く,誤答のタイプには三種の対称(線対称・面対称・点対称)の混同がみられること 4. 線対称・点対称に比べて,面対称の認識状態が低いこと 5. 問題場面をさし絵で示す場合より,実物を提示した方が,高い正答率を得たこと 6. 雨概念を通じ,女子に比べ男子の認識能力がまさっていること

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© 1981 一般社団法人日本理科教育学会
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