1983 年 23 巻 3 号 p. 21-28
琵琶湖という大きな水瓶をかかえ,琵琶湖条例も施行されている滋賀県の小中高や養護学校の教員を対象に,環境教育に対する認識と,環境教育に関する実施項目についての調査を行った。学校でどれだけの時間を環境教育に用いているのか,その時間はどのように生み出したか,それらが困難な時はその原因は何か,どのような内容の環境教育を実施しているのか,副読本等はどのように意識され,どのように利用されているか,環境教育についての研修会や研究会はどう期待され,利用されているかを調べた。その結果を見ると,琵琶湖条例や総合開発についてはマスコミによる影響が大きいことがよくわかった。重要であっても,マスコミであまりとり上げないことは,教師にとっても仲々問題意識が昂揚しないようである。また環境教育についての授業内容や方法についてみると,意識意欲という点ではかなり前進がみられ環境教育を総合的にとらえなければならないというような総論はしっかり根づいているようである。しかし,いざ行動ということになり,各論となるとやはり,何をしてよいかわからなかったり,時間不足ということで消極的な姿がないとはいえない。そして結局は理科,社会,道徳,清掃等,個々の面で何らかの活動をしているが,これが本当に環境教育として,将来の地球を守る人間を育てる教育につながるかという自信はもてないようである。