日本理科教育学会研究紀要
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「理科学習帳」の変遷と特色及びその意義―教科書類似書の発生の要因と教科書史に及ぼした影響―
中川 俊男
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1990 年 30 巻 3 号 p. 17-24

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抄録

日本の理科教育史上で「理科筆記帳」「理科筆記代用」「理科学習帳」などと称される教科書類似書が多く使用される時期が二度あった。最初は明治後期の理科教科書使用禁止時期の教科書の代用書としての時であり、もう一つは大正中期の理科教育振興時期である。理科の授業が尋常小学五年生から四年生に指導される時であって教科書の間に合わない時期でもある。二つの時期の共通点はともに教科書の空白時代であると言える。本稿はこれらの教科書類似書に注目することによって理科教科書変遷の問題点を明かにし理科教育史の整理を試みた。教科書類似書がなぜ使用されるに至ったのかを中心として北海道、山形、秋田、長野の各地方の実態の事例から理科教科書との関わりと影響について考察した。

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© 1990 一般社団法人日本理科教育学会
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