1996 年 36 巻 3 号 p. 25-35
本研究は, 1942年から発行された文部省編『初等科理科』の先駆の主要な一つが,朝鮮総督府が編纂した『初等理科書』(1931~33) と『初等理科』(1937, 38) にあったことを明らかにしたものである。そのことを,以下の調査・検討から確実にした。① 『尋常小学理科書』の大改訂作業が『初等科理科』の編集作業に切り換えられた経緯の調査・検討。② 信濃教育会編纂『(尋常小学)理科学習帳』,朝鮮総督府編纂『初等理科書』・『初等理科』,文部省編纂『初等科理科』3者の編集形式の比較・検討。③ 教材題目,教材の選択理念の比較・検討。④ 『初等科理科』に独自な教材とその執筆経緯についての検討。⑤ 学習課題を中心にした朝鮮総督府編纂の理科教科書の先駆についての検討。