日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
口腔乾燥症状改善薬 塩酸セビメリン水和物(サリグレン®カプセル30 mg)の薬理学的特性と臨床効果
塩沢 明
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2002 年 120 巻 4 号 p. 253-258

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抄録
塩酸セビメリン水和物(商品名:サリグレン®カプセル30 mg(日本化薬株式会社))は雪印乳業株式会社および日本化薬株式会社により共同で開発された,キヌクリジン環を基本構造とする新規な誘導体である.塩酸セビメリン水和物は唾液腺のアセチルコリンM3受容体に高い親和性を示す受容体アゴニストであり,口腔内に分泌される唾液の重量を指標とした動物実験で唾液分泌促進作用を示した.この唾液分泌促進作用は,臨床試験でもシェーグレン症候群の口腔乾燥症患者において,口腔内に含んだガーゼを用いて唾液の重量を測定するサクソンテストで実証され,その結果として患者の自覚症状および他覚所見を有意に改善し,QOLを向上する事が明らかにされた.さらに長期投与試験においても安全性および有効性が確認された.薬理試験および薬物動態試験の結果,塩酸セビメリン水和物は経口投与後速やかに吸収され,類薬に比較して即効的かつ持続的に唾液分泌を促進することが示された.これらの基礎試験および臨床試験の結果,新規合成化合物である塩酸セビメリン水和物は,唾液腺のM3受容体を選択的に刺激して持続的に唾液分泌を促進させることが明らかとなり,シェーグレン症候群患者の口腔乾燥症を改善しQOLを向上する薬剤として期待されている.
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© 2002 公益社団法人 日本薬理学会
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