日本薬理学雑誌
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総説
ターゲティングを指標にしたプロテインキナーゼC(PKC)の機能解析
酒井 規雄白井 康仁斎藤 尚亮
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2003 年 121 巻 6 号 p. 421-434

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抄録

プロテインキナーゼC(PKC)は,10種類以上の分子種からなるファミリーを形成する.個々の分子種の特異的な役割を明らかにする目的で,PKC各分子種にgreen fluorescent protein(GFP)などの蛍光タンパク質を融合させて可視化しPKCのトランスロケーションを生細胞でリアルタイムに解析した.その結果PKCは,刺激特異的,分子種特異的に目的基質を認識しリン酸化する多様なターゲティング機構を有することが明らかになった.さらに,このPKCターゲティングの多様性がPKCの持つ多彩な機能の分子基盤になっていることが予想された.蛍光タンパク質融合PKCを用いたPKCトランスロケーションのライブイメージングは,PKC自身の機能解明ばかりでなく,PKCが関わる様々な細胞内情報伝達の新しい側面を見いだす上でも非常に有用な研究法であることが示された.現在,脳部位特異的にPKC-GFPを発現するトランスジェニックマウスを作製し,この研究手法を脳研究に生かすべく解析を行っている.

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© 2003 公益社団法人 日本薬理学会
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