日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
新規経口フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍薬カペシタビン(ゼローダ錠300)の薬理学的特徴と臨床効果
西田 正則
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2003 年 122 巻 6 号 p. 549-553

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抄録
ゼローダ(カペシタビン,Capecitabine)は,腫瘍選択的に5-FUを生成するようにデザインされたフルオロシチジン誘導体である.本薬は消化管より未変化体のまま速やかに吸収され,肝臓でカルボキシルエステラーゼ(CE)による加水分解を受け5'-deoxy-5-fluorocytidine(5'-DFCR)となる.次に主として肝臓や腫瘍組織に存在するシチジンデアミナーゼ(CD)により5'-deoxy-5-fluorouridine(5'-DFUR)に変換される.更に,腫瘍組織に高レベルで存在するチミジンホスホリラーゼ(TP)により活性体である5-FUに変換され抗腫瘍効果を発揮する.日本において行われた第2相臨床試験の一つは,ドセタキセルに無効となった進行·再発乳癌患者60例を対象として行われた.用法·用量は,カペシタビン1,657 mg/m2/dを1日2回に分けて,3週間連続経口投与し,1週間休薬する,を1コースとするレジメンである.その結果,評価可能の55例について奏効率は20.0%(1CR,10PR),無増悪期間の中央値は84日,生存期間の中央値は452日だった.第1相臨床試験および第2相臨床試験を通じて発現した主な副作用は,手足症候群(50.7%),赤血球減少(37.9%),白血球減少(33.0%),リンパ球減少(31.0%)等だった.カペシタビンは,進行再発乳癌における新たな治療選択肢として期待されている.
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© 2003 公益社団法人 日本薬理学会
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