日本薬理学雑誌
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ミニ総説号「PGD2とその関連生体分子の生理と薬理」
プロスタグランジンJ2ファミリーの薬理作用
三輪 宜一田場 洋二宮城 めぐみ笹栗 俊之
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2004 年 123 巻 1 号 p. 34-40

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抄録
プロスタグランジンJ2(PGJ2),Δ12-PGJ2,15-デオキシ-Δ12,14-PGJ2(15d-PGJ2)の三者を含むPGJ2ファミリーは,生体内ではアラキドン酸代謝の過程においてPGD2が非酵素的に変換され生成される.これらPGJ2ファミリーの薬理作用としては,古くからがん細胞やウイルスの増殖を強力に抑制することが知られていた.しかしながらその他の作用についてはほとんど知られていなかった.その後,1995年にPGJ2ファミリーが脂肪細胞の分化に必要な核内受容体peroxisome proliferator-activated receptor γ(PPARγ)のリガンドであることが明らかになって以来,研究が飛躍的に進んだ.特に15d-PGJ2は現在のところ最も強力な内因性PPARγリガンドとして知られており,抗炎症作用,アポトーシス抑制および誘導作用,分化誘導作用等の新たな薬理作用を有することが見出された.本稿では主に心血管系の細胞を中心に,これまでに明らかにされたPGJ2ファミリーの薬理作用およびその機序についてまとめた.
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© 2004 公益社団法人 日本薬理学会
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