日本薬理学雑誌
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新薬開発状況
ゲムツズマブオゾガマイシンと癌ターゲット療法剤
今泉 正洋
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2004 年 124 巻 1 号 p. 25-29

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抄録
本邦においても特定の分子を標的とした抗体製剤が抗癌薬として承認されたが,米国では抗体に活性物質を結合したイムノコンジュゲートを使って殺細胞化合物や放射性同位元素を癌細胞に運び標的細胞選択的に強い作用を示す抗癌薬が承認されている.ゲムツズマブオゾガマイシンはヒト化抗CD33抗体に殺細胞化合物であるカリケアマイシン誘導体を結合したイムノコンジュゲートである.CD33抗原に結合した後インターナリゼーションされてリソソーム内の酸性環境下でカリケアマイシン誘導体が遊離し,核内のDNAを切断して殺細胞作用を示す.ゲムツズマブオゾガマイシンは再発急性骨髄性白血病患者を対象とした臨床試験において良好な結果が得られ,2000年に米国で承認された.本邦においても現在承認申請中である.さらに,近年米国では抗CD20抗体に放射性化合物を結合した2種類の放射性免疫療法剤も非ホジキンリンパ腫を適応症として承認されている.これらの薬剤はいずれも従来の化学療法剤の作用が期待できない再発難治の癌患者で有効性を示しており,イムノコンジュゲートにより特定の細胞を狙って活性物質を作用させる療法は今後の有望な癌治療法として期待される.
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© 2004 公益社団法人 日本薬理学会
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