日本薬理学雑誌
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特集:薬理学における痛み研究の新しい潮流
Caチャネルと痛み伝達
田邊 勉
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2006 年 127 巻 3 号 p. 156-160

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抄録

これまでに電位依存性Caチャネルとして,10種類の遺伝子が同定されており,電気生理学的,薬理学的に分類されているタイプとの対応付けがなされている.痛みの伝達機構における電位依存性Caチャネルの役割としては,(1)シナプス前終末における痛覚伝達物質の放出,(2)シナプス前および後終末における細胞膜の興奮性の増大,(3)細胞内Ca依存性シグナル伝達機構の活性化,(4)遺伝子発現変動による痛覚伝達の可塑的変化などが考えられるが,どのタイプのチャネルがどのような貢献をしているのかに関しては未知の点が多い.我々は神経系において特異的に発現するチャネルとして同定された,P/Q型,N型,R型Caチャネルに着目し,これらチャネルの痛み伝達機構における役割の解明を目指し研究を行っている.本稿においては,電位依存性Caチャネルの,1.痛覚鈍磨,2.痛覚過敏,3.神経因性疼痛,4.オピオイド鎮痛とトレランスにおける役割に関して,我々の研究室で得られた成果を紹介する.

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© 2006 公益社団法人 日本薬理学会
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