日本薬理学雑誌
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治療薬シリーズ(10)アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎治療薬の臨床:現状と今後の治療薬に期待すること
生駒 晃彦
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2006 年 128 巻 6 号 p. 411-415

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抄録
アトピー性皮膚炎の治療の柱となるのは原因・悪化因子の除去,スキンケアおよび薬物療法で,主に用いられている治療薬は,炎症に対するステロイド外用薬とタクロリムス軟膏,皮膚バリア機能障害に対する外用保湿剤,そう痒に対する抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬である.ステロイド外用薬は治療の主役であるが,副作用の危険性もあるために適切な使用法が求められる.強さがランク付けされ,部位や症状に応じて使い分けられている.タクロリムス軟膏は顔面の皮疹に対するステロイド外用薬の代替薬としてその地位を確立しつつある.抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬は痒みの原因の一部を抑えるのみなので,補助療法として位置づけられる.新しい治療薬としては核酸医薬が注目されるが,その他にもさまざまな抗炎症薬の効果が試されて報告されている.痒みに対してはオピオイドκ受容体アゴニストや抗NGF療法が注目される.
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© 2006 公益社団法人 日本薬理学会
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