日本薬理学雑誌
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特集:遺伝子改変マウスの作製法
マウスバンク
中潟 直己
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2007 年 129 巻 5 号 p. 343-348

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抄録
爆発的に増え続けるミュータントマウスに対して,国内外でマウスバンクが次々と設立され,それらマウスバンクの世界的な組織,Federation of International Mouse Resources(FIMRe)が2005年に発足した.一方,2006年にはアジアにおいて,遺伝子改変マウスの作製と保存に関するコンソーシアム,AMMRA(Asian Mouse Mutagenesis and Resource Association)が設立された.我が国の代表的なマウスバンクとしては,熊本大学CARD(Center for Animal Resources & Development)および理研BRC(Bio Resource Center)があるが,本項では,熊本大学CARDを紹介する.CARDのバンクシステムには,以下の2つがある.すなわち,一方は,マウスの寄託を受け,保存された系統について情報を公開し,第三者へ広く供給するものである.この場合の料金は,マウスのCARDへの輸送や凍結保存経費など,寄託に関する一切の経費は無料であるが,供給に関しては,有料(実費)である.他方は,有料にてマウス胚/精子の凍結保存サービスを行うもので,保存したマウスを第三者へ分与しない,また,そのマウスの情報を公開しないという条件で実施している.前者は年間100~150系統の寄託があり,年々,寄託保存系統数が増えていると同時に,海外からの供給依頼も増えている.後者は2006年4月から開始したばかりであるが,すでに80系統以上の凍結保存の依頼が入っており,着実にその成果を上げている.
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© 2007 公益社団法人 日本薬理学会
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