日本薬理学雑誌
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治療薬シリーズ(19)抗細菌薬
キノロン系抗菌薬の基礎
満山 順一
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2007 年 130 巻 4 号 p. 287-293

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抄録

キノロン系抗菌薬(以下,キノロン)は各科領域における感染症治療薬として不可欠な薬剤である.ノルフロキサシン(NFLX)以降に登場したいわゆるニューキノロンは,それまでのナリジクス酸やピペミド酸などのオールドキノロンに比べ,抗菌スペクトル,体内動態や代謝安定性が大幅に改善し,適応菌種および適応症が飛躍的に拡大した.当初,経口剤だけであった剤型は,その後,注射薬,点眼・点耳薬,さらには皮膚外用薬へと拡大している.NFLX以外の薬剤も小児科領域への適応拡大が勘案されており,現在も多くの化合物が前臨床ならびに臨床試験のステージにある.世界的なキノロンの使用頻度の増加と共にキノロン耐性菌も増加し,臨床的に大きな問題となっているが,最近はPharmacokinetics/Pharmacodynamics(PK/PD)による解析が進み,有効性だけでなく耐性菌の抑制も議論されるようになってきている.

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© 2007 公益社団法人 日本薬理学会
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