日本薬理学雑誌
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特集:神経伝達物質トランスポーター研究の新しい展開
神経伝達物質トランスポーターの構造,機能,発現とその制御
北山 滋雄十川 千春土肥 敏博
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2007 年 130 巻 6 号 p. 444-449

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抄録

神経終末やグリア細胞の細胞膜に存在する神経伝達物質トランスポーターは,神経終末より遊離された神経伝達物質を再取り込み(reuptake)することによりその神経伝達を終結させる役割を担う.これらトランスポーターは遺伝子ファミリーを形成し,その構造と機能,発現と病態との関連が明らかにされてきた.これまでの研究から,神経伝達物質トランスポーターの機能や発現がいかに調節され,それにより伝達物質の合成や貯蔵あるいは遊離がどのように影響されるのか,さらに伝達物質輸送とチャネル様活性という異なる機能が神経伝達の調節に果たす役割は何か,などの問題についての重要な発見が蓄積されてきている.最近では,グルタミン酸トランスポーター並びにNa+/Cl-依存性神経伝達物質トランスポーターのバクテリアホモログの結晶解析が神経伝達物質トランスポーターの構造についての新たな知見をもたらし,トランスポーターの機能や発現との関係について新たな研究展開を促している.本総説では,こうした神経伝達物質トランスポーターの構造解析に基づき,その限界も含めた構造・機能・発現の新しい考えを概説する.

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