日本薬理学雑誌
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実験技術
スギ花粉を用いた実験的アレルギー性鼻炎モデルの開発
水谷 暢明吉野 伸奈邉 健河野 茂勝
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2007 年 130 巻 6 号 p. 483-488

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抄録

アレルギー性鼻炎は,くしゃみ,鼻汁分泌亢進および鼻閉を主症状とする典型的なI型アレルギー疾患である.くしゃみおよび鼻汁分泌の亢進は,抗ヒスタミン薬により抑制される.一方,患者にとって最も苦痛を強いられる鼻閉にはグルココルチコイドが繁用されるが,周知のごとくグルココルチコイドは優れた効果を発揮するが副作用も強く,これに代わる鼻閉の治療薬が望まれている.実験動物を用いたヒトの病態を反映した良好なモデルは,新規治療薬の開発に極めて重要な位置にあることは論をまたない.そこで,我々はモルモットを用いてスギ花粉抽出エキスで経鼻的に感作し,以後スギ花粉の反復吸入を行うことにより,ヒトの病態に類似した症状を呈するアレルギー性鼻炎モデルの開発を企図した.本法により,抗原惹起後に明らかなくしゃみおよび二相性の鼻閉が認められ,くしゃみの発現は周知のごとく抗ヒスタミン薬で強力に抑制された.一方,遅発性の鼻閉は,システイニルロイコトリエン(CysLT)の受容体拮抗薬で強く抑制され,さらには遅発性に明らかなCysLTsの産生が認められた.また,一酸化窒素(NO)合成酵素阻害薬が遅発相を抑制したことから,遅発性に産生されたCysLTsがNOを介する血管拡張により遅発性の鼻閉を誘起しているものと推察された.さらに,本モデルの特徴は,慢性および重症化した患者において認められる鼻過敏性が認められることである.本鼻過敏性の発症は,ブラジキニンB1およびB2受容体に対する拮抗薬で抑制され,さらにはこれらの受容体のアゴニストであるdes-Arg10-カリジンおよびブラジキニンの点鼻は感作―惹起動物においていずれも鼻過敏性を誘起することから,本鼻過敏性の発症にはキニン類が大きな役割を演ずる可能性が示唆された.このように,本モデルはヒトのアレルギー性鼻炎の病態を良好に反映しており,薬効評価さらには病態のメカニズム解析において有用であると考えられる.

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