日本薬理学雑誌
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受賞講演総説
受容体作動性Ca2+流入機構の分子メカニズム
─α1Aアドレナリン受容体とSnapinの相互作用による増大を中心に
鈴木 史子
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2008 年 131 巻 5 号 p. 357-360

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抄録
α1Aアドレナリン受容体(以下α1A受容体)を含むGqタンパク共役型受容体の活性化は,細胞内Ca2+ストアからの一過性のCa2+遊離と,それに続く持続的なCa2+流入を惹起する.平滑筋組織においては,この持続的なCa2+流入が収縮反応を調節する主要な因子となっていることが知られており,創薬の点からも注目されている.しかし,この受容体の活性化によるCa2+流入機構の詳細は,未だ完全には明らかにされていない.私たちは,Gqタンパク共役型受容体の一つとしてα1A受容体に着目し,この受容体の活性化により惹起されるCa2+流入機構の解明を目的として研究を行なった.その結果,Snapinがα1A受容体の相互作用分子であり,この受容体の活性化により,“α1A受容体-Snapin-TRPC6チャネル”複合体を形成してCa2+流入を引き起こすという,新しい受容体作動性Ca2+流入機構を明らかにした.
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© 2008 公益社団法人 日本薬理学会
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