日本薬理学雑誌
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総説
新薬開発におけるバイオマーカー活用の現状
山口 行治
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2008 年 131 巻 6 号 p. 435-440

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抄録

新薬の臨床開発では最新の診断技術が活用されず,依然として問診などの医師や患者の主観的な判断に依存している部分が多い.このような臨床評価に技術革新をもたらすものとしてバイオマーカーが期待されている.欧米の製薬企業や審査当局の取組みを紹介し,バイオマーカーを実用化するための課題についてまとめた.バイオマーカーは探索的臨床試験から検証的臨床試験に移行する段階での開発の意思決定に役立っている.臨床試験で用いられるバイオマーカーを動物実験の段階で評価することは候補化合物の選択と技術評価の両側面から有用であり,動物用のイメージング装置が製薬企業に導入されている.安全性のバイオマーカーについては,産官学のコンソーシアムを中心に推進されている.こういった欧米でのバイオマーカーの実用化にはベンチャー企業が果たす役割が大きい.未解決の問題として,膨大な開発費が必要となる慢性疾患の検証的臨床試験でバイオマーカーが活用されていないことが挙げられる.慢性疾患のバイオマーカーの開発では,一般に個体間変動と個体内変動が複雑に交絡して技術的なバリデーションが困難であることに加えて,審査当局の意向に依存する部分が多いため,費用対効果が正確に算出できない.薬理研究も含め,幅広い分野の技術や知識を結集することで,こういった実務的問題に新しい解決策がもたらされることを期待したい.

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© 2008 公益社団法人 日本薬理学会
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