日本薬理学雑誌
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実験技術
低酸素と心血管疾患の関連性:動物モデルを用いた評価
林 哲也山下 知佳
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2008 年 131 巻 6 号 p. 441-445

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抄録

睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)は,睡眠中に断続的に無呼吸を繰り返すことによって日中傾眠などの症状を呈する疾患であり,労働災害や交通事故の原因にもあげられている.またSASは肥満,糖尿病,メタボリックシンドロームなどの生活習慣病と密接に関わり,心不全,高血圧に代表される心血管疾患の危険因子であることが示唆されている.しかしながら,SASによる低酸素状態が心血管系に及ぼす影響については不明な点が多い.我々は,持続的低酸素曝露装置を作製し,2型糖尿病や動脈硬化のモデル動物を用いた実験を行った.さらに,低酸素曝露条件をSASにより近づけるために,間歇的低酸素曝露装置を作製した.本装置を用いて行った10日間の間歇的低酸素曝露(30秒毎に酸素濃度5%と20%の繰り返しを8時間/日)により,C57BL/6Jマウスでは,左心室心筋細胞の肥大,間質の線維化などが認められ,左室リモデリングが惹起された.したがって,低酸素は心血管疾患の発症・進展に対して重要な役割を果たしていると考えられ,その詳細なメカニズムの解明は治療戦略および新たな治療法の確立のために必要である.

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© 2008 公益社団法人 日本薬理学会
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