抄録
近年,がん分子標的薬の開発が盛んになり,一部で臨床使用が可能となった.分子標的薬は,標的分子に作用する薬剤として同定されるため,おのずとバイオマーカー研究とは親和性が高いと考えられる.バイオマーカーには様々なものが存在するが,がん薬物療法においては,高い毒性と低い有効性の点から,薬効,安全性を予測するバイオマーカー研究が盛んにおこなわれている.また,新薬開発の初期段階から,バイオマーカーを利用する試みも始まっている.本稿では,がん臨床におけるバイオマーカー研究の中から,抗がん薬のバイオマーカー研究の現状を概説し,今後の方向性について述べてみたい.