抄録
敗血症(sepsis)は,感染症を基盤とする全身性炎症反応病態であり,組織酸素供給の低下したショックを合併しやすい病態である.敗血症に合併するショックの初期病態は,一酸化窒素やプロスタノイドなどの過剰産生による体血管抵抗の減弱した血流分布異常性ショック(warm shock)である.しかし,敗血症の持続により血管内皮細胞障害が進行すると,末梢循環の損なわれたcold shockへ移行し,高められた体血管抵抗により心収縮性低下が具現化する.この血管内皮細胞障害を導く要因として,アポトーシスが関与する.敗血症では,血管内皮細胞や主要臓器のさまざまな細胞でDeath受容体ファミリーの細胞膜発現が高まり,さらにアダプター分子であるFas-associated death domain protein(FADD)が増加し,カスパーゼ-8とカスパーゼ-3が活性化し,アポトーシスが誘導される傾向がある.敗血症性ショックにおいては,warm shockをcold shockへ移行させない管理が必要であるとともに,特に血管内皮細胞のアポトーシスを抑制する創薬が必要とされている.FADDやカスパーゼの阻害を標的としたアポトーシス治療は,敗血症性ショックの進展を防ぐ治療として有効と評価された.