日本薬理学雑誌
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創薬シリーズ(4)化合物を医薬品にするために必要な薬物動態試験(その4)排泄(1)(2)
腎排泄とトランスポーター
水内 博
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2010 年 135 巻 1 号 p. 30-33

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抄録
薬物の尿中排泄には腎での糸球体濾過と尿細管分泌が関わっている.中でも尿細管分泌は腎尿細管上皮細胞の刷子縁膜および側底膜に存在しているトランスポーターが協働する方向性を持った物質輸送過程であり,近年,トランスポーターの実態が分子レベルで次々と明らかにされ,尿細管分泌過程における特定のトランスポーターを介した薬物間相互作用についても報告がなされている.これまで,医薬品開発における腎排泄に関しての検討では,事象をマクロ的に捉えることが主であり,その多くが腎機能低下(加齢,疾患,薬剤)による血中薬物濃度推移等の薬物動態変化を把握し,情報提供するというものであった.これらの情報は臨床使用上非常に重要ではあるが,腎排泄に関わるトランスポーターの実態が明らかとなった今日,特にin vitroでの評価ツールが整ってきたことから,薬物の腎排泄のメカニズムをより詳細に検討することが求められつつある.
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© 2010 公益社団法人 日本薬理学会
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